労働者派遣事業の許可の取り方、要件
労働者派遣事業には派遣会社が派遣労働者を常時雇用している「特定労働者派遣事業」と常時雇用しているのではなく単に登録している労働者を派遣と同時に雇用して派遣することもできる「一般労働者派遣事業」の2種類があります。
1.「一般労働者派遣事業」(労働大臣の許可が必要)は、派遣労働者の登録を受け付けるのみです。
2.「特定労働者派遣事業」(労働大臣に届出が必要)は派遣労働者は常に派遣会社の社員であるので、派遣契約が成立しなくても給与、経費負担のリスクがあります。
一般労働者派遣事業の許可
「一般労働者派遣事業」は事業所ごとに次に揚げる書類を所轄の公共職業安定所を経由し厚生労働大臣提出しなければなりません。
(手数料として12万円の収入印紙を貼り付ける。収入印紙が消印された後は手数料は返却されません。)
■許可申請(申請窓口・所轄公共職業安定所)
@一般労働者派遣事業許可・許可有効期間更新申請書
A一般労働者派遣事業計画書
B次表の添付書類二部
法人の場合 | 個人の場合 |
定款又は寄付行為 | 住民票の写し及び履歴書 |
登記簿謄本 | 所得税の納税申告書の写し |
役員の住民票の写し及び履歴書 | 所得税の納税証明書 |
貸借対照表及び損益計算書 | 預金残高証明書 |
法人税の納税申告書の写し | 不動産登記簿謄本の写し |
法人税の納税証明書 | 固定資産税評価額証明書 |
事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等) | 事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等) |
派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書 | 派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書 |
派遣元責任者が「派遣元責任講習」を受講した事を証する書類の写し | 派遣元責任者が「派遣元責任講習」を受講した事を証する書類の写し |
個人情報適正管理規程 | 個人情報適正管理規程 |
一般労働者派遣事業の許可を受けるためには「許可基準」を満たす必要があります。
許可基準
2.申請者が当該事業の派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足る能力を有するものである事
3.個人情報を適正に管理し派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられる事
4.申請者が当該事業を的確に遂行するに足りる能力を有する者である事
5.民営職業紹介事業を兼業する場合の許可要件
6.海外派遣を予定する場合の許可の要件
上記の1から6までの基準を満たした上で許可されます。また、4の基準については以下のように申請者についての財産的基礎についての判断基準があります。
1.財産的基礎に関する判断
資産(繰延資産及び営業権を除く)の総額から負債の総額を控除した額(基準資産)が2千万円に当該事業主が一般派遣を行う(事を予定する)事業所の数を乗じた額以上であること
基準資産が負債総額の7分の1以上であること
事業資金として自己名義の現金・預金の額が1500万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う(事を予定する)事業所の数を乗じた額以上であること
2.事業所に関する判断
・事業に使用し得る面積がおおむね20u以上であること等です。
■許可は厚生労働省における審査及び労働政策審議会の意見を聞く等の手続を経て行われます。
■許可申請は事業開始予定時期の約2ヶ月前までに行う必要があります。
特定労働者派遣事業の届出
特定労働者派遣事業を行おうとする場合は、事業所ごとに、次に揚げる書類を所轄 の公共職業安定所を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。
■許可申請(申請窓口・所轄公共職業安定所)
@特定労働者派遣労働事業届出書
A特定労働者派遣事業計画書
B次表に揚げる添付書類二部
法人の場合 | 個人の場合 |
定款又は寄付行為 | 住民票の写し及び履歴書 |
登記簿謄本 | 事業所の使用権を証する書類 |
役員の住民票の写し及び履歴書 | 派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書 |
事業所の使用権を証する書類 | 個人情報適正管理規程 |
派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書 | |
個人情報適正管理規程 |
「特定労働者派遣事業」には「許可基準」に相当するものはありませんが、一部一般労働者派遣事業での要件は満たす必要はあります。
※「一般労働者派遣事業」「特定労働者派遣事業」共に派遣元責任者を選任する必要があります。
※以下の業務は派遣事業(一般労働派遣事業、特定労働者派遣事業)を行えません。
@港湾運送業務
A建設業務
B警備業務
C医療関係の業務
(各条件まで可能な場合あり)
人材紹介業の許可の取り方・要件
人材紹介業(職業紹介業)には「有料職業紹介事業」と「無料職業紹介事業」に分類されます。(学校等が就職のあっせんを行う無料職業紹介事業もあります。)有料、無料職業紹介事業共に、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。
有料職業紹介事業 | 無料職業紹介事業 | 学校等の行う無料職業紹介事業 |
大臣の許可 | 大臣の許可 | 大臣への提出 |
有効期間3年(更新で5年) | 有効期間5年 |
「特定労働者派遣事業」には「許可基準」に相当するものはありませんが、一部一般労働者派遣事業での要件は満たす必要はあります。
有料職業紹介事業の許可
「有料職業紹介事業」は事業所ごとに次に揚げる書類を所轄の公共職業安定所を経て厚生労働大臣に提出しなければなりません。
■許可申請(申請窓口・所轄公共職業安定所)
@有料職業紹介事業許可・許可有効期間更新申請書
有料職業紹介事業の許可を得る時も、一般労働者派遣事業と同様に許可基準を満たさなければなりません(概ね一般労働者派遣事業の許可基準に準じています。)
有料職業紹介事業の許可基準(要約)
1.申請者が、当該事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有する事
2.個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること
3.申請者である法人又は代表者が料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業の場合は職業紹介はできません。
4.1から3までのほか申請者が、その事業を適正に遂行することができる能力を有すること
※上記1から4までの許可基準を満たすことが必要です。
また1の基準については、
●資産(繰延資産及び営業権を除く)の総額から負債の総額を控除した額が500万円以上である事
●事業資金として自己名義の預貯金の額が210万円以上であること等が必要です。
有料職業紹介事業の「手数料」について
有料で職業紹介事業を行うには上記の「許可」を受けると共に「手数料表」を作成してこれを厚生労働大臣に届け出なければなりません。届け出制手数料届出書を所轄の公共職業安定所に提出します。その「手数料表」により手数料を徴収します。但し、一部の職種については「手数料表」とは別に徴収する事ができます。(芸能家、モデル、科学技術者、経営管理者等は別に定める方法で徴収します。)
有料職業紹介事業、紹介禁止職業
有料職業紹介事業では、@港湾運送業務A建設業務については紹介を行うことができません。(「無料職業紹介事業」では紹介することができます。)
職業紹介責任者の選任
職業紹介責任者を選任して@苦情の処理A個人情報の管理B業務の統括、改善等を行わせる必要があります。(「無料職業紹介事業」でも選任しなければなりません。)
無料職業紹介事業の許可
「無料職業紹介事業」でも事業所ごとに次に揚げる書類を所轄の公共職業安定所を経て厚生労働大臣に提出しなければなりません。
■許可申請(申請窓口・所轄公共職業安定所)
@無料職業紹介事業許可・許可有効期間更新申請書
職業紹介事業の許可を得る時も、有料職業紹介事業とほぼ同様の許可基準を満たさなければなりません。
(概ね準じています。)
無料職業紹介事業の許可基準(要約)
1. | 申請者が、当該事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有する事 |
2. | 個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること |
3. | 申請者である法人又は代表者が料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業の場合 は職業紹介はできません。 |
4. | 1から3までのほか申請者が、その事業を適正に遂行することができる能力を有すること |
※上記1から4までの許可基準を満たすことが必要です。